組織のミカタ

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ローレンス佐藤のオフィシャルブログ

否定してくる人の話を聞きますか?

あなたは、自分の考えや行動を肯定してくれる人の話と、否定してくる人の話、どちらをより親身に聞きますか?

 

ほとんどの人が、前者の人の話をより親身に聞くと思います。

 

当然ですよね?

非常にシンプルな話です。

 

人は、自分を肯定し、同意してくれる人を好み、自分を否定し、攻撃してくる人を嫌います。

 

これは感情なので、抗えるものではありません。そして、余程、精神的に成熟した人か訓練された人でなければ、人は、言われたその内容自体(その内容だけ)を嫌うという器用なことはできず、言ってきたその人を嫌いになります(少なくともその瞬間や一定期間は)。

 

そうなった時に、その嫌いになってしまった人からの提言や批判を、あなただったら受け入れられますか?

 

その相手が上司ならば、しぶしぶ受け入れざるを得ないと思うでしょう。あるいは、尊敬している相手であれば、自分が間違っているのかもしれないと考えなおし、受け入れることもできるでしょう。

 

しかし、もしあなたがその相手の上司だったとしたら?つまり、その相手が自分の部下だったとしたら、どうでしょうか?あなたは素直にその提言や批判を受け入れられますか?

 

シンプルに考えてみてください。

答えは「No」のはずです。

 

上司としての体面上、理解を示した風を装うことはするかもしれません。実際、そのように自分を律する努力をする人も多いと思います。

 

でも、リアルな感情に目を向けた時、あなたはどう思うか。

 

「ふざけるな!」

「お前にそんなこと言われる筋合いじゃない!」

「自分のやるべきこともやらずに、何偉そうなこと言ってんだ!」

「そんなことは百も承知なんだよ!」

「それがやれればとっくにやっとるわい!」

「結果も出せないくせに頭でっかちなことばっかり言いやがって!」

 

そんなところではないでしょうか?

マネージャー経験者であれば、こんなことを思ったことは一度や二度ではないと思います。

 

そして、そう感じた相手の話を受け入れることはまずない筈です。ですよね?

もちろん、上司として、相手が納得できるように正当な理由を見つけて(是が非でも見つけて)却下するという形で。あるいは、相手を傷つけないように配慮しつつ、やんわりはぐらかすようにスルーする形で。

 

つまり、人の決定や行動に最も影響を及ぼしているのは「感情」なんです。人間の感情はとてもシンプルであり、かつ、非常に強力です。そして、理屈では説明がつきません。

 

 

で、何でこんな話を持ち出したかというと、お仕事をしている中で、非常に多く耳にする話が、こんなお話。

 

「上司がダメだ」

「上司が言うことを聞かない」

「上司が変わらない限り、絶対無理」

「上司を変えたいんです」

 

さて、ここまでの話を読んで来られた方ならお分かり頂けますよね?

 

そのスタンスで上司に接している限り、上司は絶対に変わらないということを。

 

だって、「自分を否定しにくる部下の話なんか聞きたくないもん!」ですから。本音は。話の正当性や妥当性なんか関係ないんです。

 

人の感情というものが分かっていなければ、人も組織も変えることはままならない、ということをまず理解することが大切です。

 

どっかで勉強したからって、意気揚々と、「うちの会社にはイノベーションが必要です!」なんていきなり上司に持ちかけても、「お前自身をイノベーションしてから出直してこい」と言われる(思われる)のが関の山です。

 

まず、その人が上司のポジションにある以上は、上司の話しを受け入れ、肯定し、まずその意向に沿って行動する。その姿勢を示す。それが大切です。その上で直面する課題や困難についての相談であれば、上司も進んで聞いてくれるはずです。それは上司にも聞く責任がありますから。もし、それを拒否したり無視するような上司であれば、さらにその上司に相談すべきですし、それを取り合わないような組織であれば、とっとと転職しましょう。

 

また、「何を学ぶか」についても、まずは上司に聞いてみることをオススメします。

上司が勧めたことを素直に学び、フィードバックしてくる部下については、上司もシンプルに嬉しいですし、その学びから出てきた意見について、上司も積極的に聞いてくれるでしょう。上司が全く知らない領域のことを学んできて、上司にマウントするような形でその学びで得たことを突きつけてくる部下の話しを喜んで聞いてくれる上司はまずいない、ということも、ここまでお読み頂ければお分かり頂けると思います。

 

もちろん、これは「上司との関係性において自分の学びを活かす方法」であって、それ以外に自分が学びたいことを自由に学ぶことは当然のこととして、非常に大切ですし、その価値は一切否定しません。

(この「学び」というのも案外曲者で、本当に「学んだ(=理解した)」人は、それを上司に突きつけるのではなく、自分で体現して、自分の行動と影響力で組織を変えていくリーダーになっていくもの、と考えていますが、これについてはまたどこかで。)

 

ということで、前回の投稿では「上司の課題(リーダーシップ)」の観点から語りましたが、今回は「部下の課題(フォロワーシップ)」の観点から語りました。組織において、リーダーシップとフォロワーシップは両輪です。両方がしっかり噛み合ってる組織が強い組織だと思います。

 

部下のフォロワーシップの欠如を嘆くリーダーは、今一度、自分の「リーダーシップ」について考えなおすべきですし、上司のリーダーシップの欠如を批判している部下は、今一度、自分の「フォロワーシップ」について考えなおすべきだと思います。ただ、そこで決してやってはいけないことは、上司が「フォロワーシップ論」を学んで部下を攻撃することと、その逆で、部下が「リーダーシップ論」を学んで上司を批判することです。ハッキリ言って、これが一番無意味なことです。が、実はこれが横行して組織がうまくいっていないというケースが非常に多いですね。

 

まずは、相手を肯定し、その思いを深く受け入れ、聞き取り、行動に移してみる。組織としての本当の議論はそこから始まるのではないでしょうか。

 

人に言葉の刃を向けず、上司も部下もなく、それぞれが「個人」として自分の思いに向き合い、心の「声」を発し、共有するコミュニケーション。部下との関係性に悩む課長さんにオススメです!

 

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ライフ・ブレークスルー・ジャパン株式会社
代表取締役 ローレンス佐藤

http://www.life-btj.com

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