組織のミカタ

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ローレンス佐藤のオフィシャルブログ

組織のリアリティは組織の中にしかない

「組織」という言葉、よく耳にしますよね。ビジネスに携わっている人であれば、特によく使う言葉だと思います。書店に行っても、組織に関する本はごまんと並んでいます。試しにアマゾンの「本」のカテゴリーで「組織」と検索したら、2万件以上がヒットしました。それほど、組織に関する書籍が発行され、研究がなされ、理論が生み出されている訳です。仕事柄、私もそれなりには読んでいます。

 

しかし、いつも思うんです。
概念化された「組織」というものを語るその本に、その研究に、リアリティはあるのか?と。

 

もちろん、研究というものは、そもそも、多くの具体的事象から法則性や規則性を見出し、抽象度を高くしながら、その本質を抽出し、概念化し、具体的事象に広く適応可能なものにする、というのが目的だと思います。つまり、抽象化・概念化することがそもそもの目的である訳なので、そこにリアリティを求めること自体がナンセンスと言えばナンセンスだとは思います。

 

それにしてもです。こと「組織」に関しては、概念とリアリティに隔たりがある気がしてなりません。いや、私も、大企業のサラリーマンとして働き続けていたら、そんなに違和感を持たなかったかもしれません。多くの組織論も大企業をベースに語られていることが多いですし。

 

しかし、私はこう考えます。

「その組織のリアリティはその組織の中にしかない」

 

特に、日本の企業のうち、99.7%(「平成26年経済センサス-基礎調査」より)を占めているといわれている中小企業においては、組織論などは当てはまらないことが多いと思っています。

 

ここで、参考までに「組織」の定義を改めていくつか見ておきたいと思います。

 

「組織」

・ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団(広辞苑

・社会科学における組織は、共通の目標を有し、目標達成のために協働を行う、何らかの手段で統制された複数の人々の行為やコミュニケーションによって構成されるシステムのことである(Wikipedia

・意識的に調整された、2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム(チェスター・バーナード、経営学者)

・意思決定とその実行の過程を含めた、人間集団におけるコミュニケーションとその関係のパターン(ハーバート・サイモン経営学者)

 

難しいですね。専門家が、長きに渡る研究と実証を重ねながら辿り着いた、普遍性のある概念としての定義です。「組織」自体を研究する人にとっては、一言一言が非常に大切な意味を持つものだと思います。その価値は全く否定しません。

 

しかし、これが、今まさに、自分の組織がうまくいかなくて悩んでいる課長や、組織リーダーにとって役に立つものなのかと言ったら、それはちょっと違うと思います。そもそも、普通のビジネスマンはこんなことを考えてもいないでしょうし、ピンともこないと思います。

 

そこで、「組織のリアルに悩む課長」を支援する私がお伝えしたい組織の定義、

 

それは、“組織は「感情の巣窟」” だということです。

 

これは、私自身の経験から来ているところが大きいと思います。風通しのいい、健全な組織で育ってきた方には、「???」かもしれません。しかし、小規模で、人事異動も滅多にない、かつワンマン社長が権力を振るっているような企業においては、組織は「感情の巣窟」です。そこでは、世の中で華々しく語られているような理論は全く無意味です。

 

濁った川のような組織、一見水が流れているようで、川底に泥が何層にも溜まったような組織。日本の9割以上を占める中小企業の多くは実はそれに近い状態ではないかと思ったりもします(悲観的すぎるかもしれませんが)。

 

経営サイドからすれば、組織がどうなっていようとも、業績さえあがっていればいい、という考え方もあるかもしれません。ただ、私にとっては、「その組織のリアリティ」こそが大事です。そのリアリティをすっ飛ばして、イノベーションだ、ティール組織だ、なんて全くあり得ないと私は思う訳です。

 

実は、かつて私もそんなリアリティ溢れる組織の中に絡め取られ、一縷の希望と光を求めながら悪戦苦闘した結果、夢破れ、仕事も家庭も失った過去があります。なので、今私は、その「リアリティ」の中にもう一度飛び込もうとしています。同じような境遇の組織リーダーを支援する為に。そして、あたかもそれは、当時の自分を救いにいくような気持ちでもあります。

 

華々しい理想や理論を持ち込む前に、まず、その組織のリアリティを全員で白日のもとに晒す。それこそが組織変革の第一歩だと思います。非常にチャレンジングですし、ハードルも高いと思います。ある意味タブーかもしれません。そもそもが性善説に立っていないとできないこととも思います。もちろん、いつもそんなことをさせてもらえる訳でもありません。まずは笑顔を取り戻すところから、なんていうことも全然あります。

 

でも、それが私の選んだチャレンジです。

  

では、また。

 

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ライフ・ブレークスルー・ジャパン株式会社

代表取締役 ローレンス佐藤

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